いわもと皮フ科クリニック

〒251-0047 
神奈川県藤沢市辻堂2丁目4−30
田代ビル 2階

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FAGAとは?

FAGA(女性男性型脱毛症)は、女性に発症する進行性の薄毛で、男性型脱毛症(AGA)と同様のメカニズムで起こる脱毛症です。主に頭頂部や分け目周辺から髪のボリュームが徐々に減少し、地肌が透けて見えるようになるのが特徴的な症状となります。

男性の薄毛とは異なり、完全に毛髪が失われることは稀で、髪全体が細くなり密度が低下していく傾向があります。特に更年期を迎えた女性に多く見られますが、若い世代でも発症するケースが増えており、早期の対処が重要視されています。

進行は緩やかで気づきにくく、鏡で見た時に分け目が広がって見えたり、髪をまとめた際にボリューム不足を感じることで症状に気づく方が多くいらっしゃいます。放置すると徐々に進行していくため、違和感を覚えた段階で専門医への相談をおすすめしています。

FAGAの進行パターン

びまん性脱毛

最も一般的な進行パターンで、髪全体が均等に薄くなっていく状態です。特定の部位だけでなく頭部全体にわたって毛髪の密度が低下し、一本一本の髪が細くなることで全体的なボリューム感が失われます。初期段階では変化に気づきにくく、進行してから症状を自覚される方が多い傾向にあります。

分け目が目立つようになったり、髪をかき上げた時に地肌が見えやすくなるなどの症状が現れます。また、ヘアスタイルがまとまりにくくなったり、以前と同じスタイリングでもボリューム不足を感じることが多くなります。

パターン型脱毛

男性型脱毛症に似た進行を示すタイプで、前頭部や頭頂部を中心に薄毛が進行します。生え際が後退したり、つむじ周辺の髪が薄くなることが特徴的です。女性の場合でも、ホルモンバランスの変化により男性と同様の進行パターンを示すことがあります。

このタイプは進行が比較的早く、見た目への影響も大きいため、早期の治療開始が推奨されます。適切な治療により進行を抑制し、毛髪の状態を改善することが期待できます。

FAGAの原因

ホルモンバランスの変化

女性ホルモンであるエストロゲンの減少が主要な原因の一つです。エストロゲンには毛髪の成長を促進し、抜け毛を抑制する働きがありますが、加齢とともに分泌量が減少することで薄毛が進行しやすくなります。

特に更年期以降は急激にホルモンバランスが変化するため、この時期にFAGAの症状が顕著に現れる女性が多くいらっしゃいます。また、出産後や極度のダイエットによってもホルモンバランスが乱れ、一時的な薄毛を引き起こすことがあります。

遺伝的要因

家族に薄毛の方がいる場合、遺伝的にFAGAを発症しやすい体質を受け継いでいる可能性があります。母方・父方どちらの遺伝子も影響するとされており、複数の遺伝子が関与する多因子遺伝と考えられています。

遺伝的素因があっても必ず発症するわけではなく、生活習慣や環境要因も大きく影響します。そのため遺伝的リスクがある方でも、適切な予防や早期治療により症状の進行を抑えることが可能です。

生活習慣・環境要因

過度なストレス、睡眠不足、栄養バランスの偏りなどが薄毛の進行に影響を与えます。現代社会では仕事や家庭でのストレスが蓄積しやすく、これらが髪の成長サイクルを乱す要因となることがあります。

また、過度なダイエットによる栄養不足や、喫煙・過度の飲酒なども血行不良を招き、毛根への栄養供給を阻害することで薄毛を促進させる可能性があります。規則正しい生活習慣を心がけることが、症状の改善や予防に重要です。

当院におけるFAGAの治療

ミノキシジル内服治療

当院では、女性の薄毛治療において高い効果が認められているミノキシジルの内服薬を用いた治療を行っております。ミノキシジルは血管拡張作用により頭皮の血行を改善し、毛根への栄養供給を促進することで発毛効果を発揮します。

内服薬として体内から作用するため、頭皮全体に均等に効果が行き渡り、びまん性脱毛に対して特に有効性が期待できます。治療開始から3〜6ヶ月程度で効果を実感される方が多く、継続的な服用により毛髪の密度向上や太さの改善が見込めます。

患者様の症状や体質に応じて適切な用量を調整し、定期的な診察で効果や副作用の有無を確認しながら安全に治療を進めてまいります。初期脱毛や軽微な副作用が現れる場合もありますが、適切な管理のもとで継続していただくことで改善効果が期待できます。

スピロノラクトン内服治療

スピロノラクトンは、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを阻害する作用を持つ薬剤で、女性の薄毛治療において重要な役割を果たします。FAGAの原因となる男性ホルモンの影響を抑制することで、毛髪の成長期を延長し、抜け毛の進行を防ぐ効果があります。

特に更年期以降の女性では、女性ホルモンの減少により相対的に男性ホルモンの影響が強くなりがちですが、スピロノラクトンの服用によりこのホルモンバランスの乱れを改善することができます。ミノキシジルとの併用により、発毛促進と脱毛抑制の両方のアプローチから総合的な治療効果を目指します。

服用開始から効果を実感いただくまでに数ヶ月を要しますが、継続的な内服により薄毛の進行を抑制し、毛髪の質の改善が期待できます。血圧や電解質への影響を考慮し、定期的な検査を行いながら安全性を確保した治療を提供いたします。

症状の程度や患者様のご希望に応じて、これらの内服薬を単独または組み合わせて使用し、最適な治療プランをご提案いたします。薄毛でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。