いわもと皮フ科クリニック

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神奈川県藤沢市辻堂2丁目4−30
田代ビル 2階

粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の内側に形成される袋状の構造物です。通常は皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が袋の中に溜まり、腫瘍(嚢腫)を形成することがあります。 アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれる良性の腫瘍です。

袋状の組織が皮膚の下にでき、そこに垢や皮脂といった老廃物がたまったもので、はじめはあまり目立たず、触れると小さなしこりがあるように感じます。 頭部、顔、首、背中などによく見られ、時間の経過とともに徐々に大きくなる傾向があります。

粉瘤(アテローム)の画像

粉瘤の原因

粉瘤は皮膚の下に袋状のものができて、そこに垢や皮脂などの老廃物がたまった良性腫瘍です。ヒトパピローマウイルスの感染や皮膚にできた外傷など、原因がはっきりわかることもありますが、こうしたケースは稀で、ほとんどは原因が明らかになりません。

毛穴の閉塞が主な原因と考えられています。毛の生え際などで毛穴が詰まると、皮脂や角質が外へ排出されずに内部に溜まり、老廃物の蓄積と袋状の嚢腫(粉瘤)の形成につながります。

手のひらや足裏ではイボに変化したり、小さなケガの後に皮膚がまくれこんで袋状になって生じることもあります。

粉瘤ができやすい方

粉瘤は誰にでもできる可能性がありますが、体質や生活習慣も関係しています。
皮脂の分泌が活発な方や、ホルモンバランスが乱れている方は粉瘤ができやすいとされています。また、発汗量が多い方も皮脂や角質が溜まりやすく、粉瘤ができやすい傾向にあります。

遺伝的な要素も関係しており、家族に粉瘤ができやすい方がいる場合は注意が必要です。
複数の粉瘤ができる「多発性粉瘤」の傾向がある方もいます。

頭部や背中など、皮脂腺の多い部位を頻繁に刺激する生活習慣(帽子の常用など)がある方も発生リスクが高くなります。

加齢とともに皮膚の新陳代謝が低下することも影響し、30代中盤以降の方に多く見られる傾向があります。

当院における粉瘤手術の流れ

当院では切開法による治療を行っています。
切開法とは、腫瘍の直上に切開を加え、粉瘤を丸ごと切除する方法です。この方法は再発率が低く、確実に粉瘤を取り除くことができます。

手術の流れは以下の通りです。

1.診察・カウンセリング

粉瘤に気づいた時期や場所、持病やアレルギーの有無、内服薬などについての情報が必要です。 粉瘤の状態を確認し、最適な治療法をご提案します。

麻酔

手術中の痛みを軽減するために 麻酔を事前に行い、麻酔が効いたことを確認してから手術を始めます。

切開・摘出

メスを使って腫瘍の直上部の皮膚開口部を中心に切開します。丁寧に粉瘤の袋を周囲から剥がして摘出します。 傷跡を目立たない線1本に仕上げます。

止血・縫合

止血処理を行い、手術箇所の閉創処置を行います。 傷口を丁寧に縫合して手術を終了します。

術後の説明

術後の傷口ケアや日常生活上の注意点、軟膏処置やガーゼ交換、痛み止めの内服方法などについて説明します。

手術時間は通常5〜20分程度です。当院では数センチあるものでも当日手術を行っております。

粉瘤手術後の過ごし方

粉瘤手術後の過ごし方のイメージ画像

手術の当日は、体への負担を抑えるため、飲酒や激しい運動は控えましょう。
ゆっくりと休息をとることが大切です。

出血のリスクがあるため、手術当日・翌日の運動は控えるようにしましょう。
また、飲酒すると明らかに傷の治りが悪くなりますので、少なくとも3日程度、できれば1週間は飲酒しないほうが理想的です。

抜糸までの約1週間はシャワーのみにとどめ、傷口は湯船につけないようにしてください。重い荷物を持つなど、体に負荷がかかることも避けましょう。

手術当日から翌日にかけて痛みがあることが一般的ですが、時間とともに徐々に軽減します。小さな傷の場合は、ほとんど痛みはありません。必要に応じて、痛み止めの内服薬が処方されます。

手術後は傷口を清潔に保つことが重要です。翌日からは、石鹸をよく泡立ててから傷口をシャワーで流してください。その後、軟膏の塗布とガーゼ保護をご自身で行っていただきます。

手術直後は、軽度の出血や腫れが見られることがありますが、通常の反応です。ただし、出血が多い場合や痛みがある場合などは、速やかに医師に相談してください。1週間後に来院していただき、傷の状態を診察します。

通常、傷は1〜2週間程度で治癒しますが、完全に痕が目立たなくなるまでには数ヶ月かかることがあります。1か月でも傷は目立たなくなってきますが、傷は3か月から6か月の経過で更に目立たなくなります。

粉瘤手術後のリスク・副作用

術後の主なリスク・副作用としては下記が挙げられます。
麻酔薬アレルギー、傷跡、ケロイド、内出血、疼痛、再発

また術後は傷口から感染するリスクがあります。傷口を清潔に保持し、医師の指示に従って適切なケアをすることが重要です。

頻度は低いのですが、炎症を何度も繰り返している粉瘤の場合、粉瘤の病変があちこちに飛び散っているために、ごくわずかに取り残すことがあります。その場合は、数ヶ月〜数年で再発することがあります。