
蕁麻疹
蕁麻疹とは
蕁麻疹(じんましん)とは皮膚が突然赤く盛り上がり、多くは痒みを伴うのが特徴です。一見、虫刺されのように見えることが多い症状ですが、数時間のうちに消える場合は蕁麻疹の可能性が高いといえます。
大きさや形状はさまざまで、爪で掻いてしまうと広がったり、出たり引っ込んだりを繰り返すのも特徴です。
症状が出始めてから1か月以内のものを「急性蕁麻疹」、症状が1か月以上続くものを「慢性蕁麻疹」といいます。

蕁麻疹の原因
人の組織中には肥満細胞(マスト細胞)という免疫細胞があり、アレルギーを引き起こす物質(ヒスタミンなど)がたくさん含まれています。蕁麻疹は何かが原因で、皮膚の肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、血管拡張(紅斑)や、血漿成分の漏出(膨疹)、痒みが生じることが原因です。
蕁麻疹の主な種類
アレルギー性蕁麻疹
食物、薬剤、虫刺されなどの原因が体内に入り、多くは1時間以内で蕁麻疹がでるタイプです。
特定の食品(小麦、エビなどの魚介類)を食べるだけでは無症状ですが、食べた後に運動をすると蕁麻疹や血圧低下、呼吸が苦しくなるなどのアレルギー反応がでるものは、「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」といいます。
非アレルギー性蕁麻疹
ヒスタミンなど蕁麻疹の誘発物質を多く含む食品や薬剤で起こりますが、アレルギーではない機序でおこります。
不耐症による蕁麻疹
アスピリンをはじめとする鎮痛剤、食品添加物(色素・防腐剤)、サリチル酸を多く含む食品などによりおこる蕁麻疹です。
物理性蕁麻疹
物理的刺激による蕁麻疹で、皮膚をこすったり、圧迫した所にでたり、温度の変化(温熱や寒冷刺激)によって蕁麻疹がでます。まれですが、日光、水、振動ででるタイプもあります。
コリン性蕁麻疹
入浴や運動・精神的緊張などで体温があがると、汗とともに点状の蕁麻疹がでます。
接触蕁麻疹
原因物質に触ってしまうと、その部位に蕁麻疹がおこります。
蕁麻疹の7割以上は、特定の刺激がなくとも蕁麻疹がでるタイプで、「特発性蕁麻疹」といいます。
「特発性蕁麻疹」は、いくつかの増悪因子が重なっておこると考えられており、細菌やウイルスの感染症、ストレスや疲れ、日内変動(夕方から明け方にかけて悪化するパターンが多い)、運動や入浴などの温度刺激などが増悪因子として関与し、過敏体質と組み合わさって症状が繰り返されている場合があります。
蕁麻疹の治療について
蕁麻疹の治療は、内服薬と注射を用います。あわせて、上記で紹介した蕁麻疹の病態に関係するものは、なるべく避けて生活しましょう。
内服薬は抗ヒスタミンを取り扱っています。
抗ヒスタミン薬は、種類が複数あり、効果や内服方法、眠気などを考慮し選択します。自身の体質に合った薬を選ぶことが重要です。日常的に運転する頻度が多い方には眠気が少ない薬、緑内障や前立腺肥大症がある方は抗コリン作用が強い第一世代抗ヒスタミン薬を避け、第二世代抗ヒスタミン薬を用います。