いわもと皮フ科クリニック

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田代ビル 2階

ニキビ(尋常性ざ瘡)

ニキビ(尋常性ざ瘡)

ニキビ(尋常性ざ瘡)とは

ニキビは日本人の90%以上が一度は経験する身近な皮膚疾患で、医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれています。

毛穴の中に皮脂が溜まることで炎症を引き起こす疾患であり、おでこ、頬、背中など皮脂が多く分泌される部位にできやすい特徴があります。

ニキビは思春期がピークのイメージがありますが、20代以降も大人ニキビ(吹き出物)の発症を繰り返す方も多くいらっしゃいます。

ニキビ対策で重要なのは、適切な治療を怠ると、瘢痕(はんこん)、いわゆる「あばた」になり残ってしまう場合もあるということです。 ニキビの炎症は進行すると出血や膿が出たり、皮膚の深い組織を傷つけたりするため、炎症が治まったとしても色素沈着や痕(ニキビ痕)が残ってしまうことがあります。そのため、早期治療で重症化を予防することが、ニキビ治療では大切となります。

ニキビを気にする女性の画像

ニキビの原因

ニキビの原因の中心となるのは、アクネ菌の増殖です。
アクネ菌の養分となる皮脂は、乾燥、皮膚をこするなどの刺激による外的要因や、ホルモンバランス、ストレスなどによる内的要因に敏感に反応して、過剰分泌が起こります。 皮脂の分泌過多と、毛穴の詰まりによって、毛穴に皮脂が溜まり、その中でアクネ菌が増殖することで炎症を起こし、ブツブツができるのです。

特に思春期には、性ホルモンの影響により皮脂腺が発達し、皮脂分泌が盛んになることでニキビを発症しやすくなります。

日常生活では、ストレスや睡眠不足、偏った食生活など生活習慣の乱れも原因となります。また、基礎化粧品やメイク用品の使用によって毛穴を詰まらせることも、アクネ菌の増殖要因となるため、スキンケアを含めた「肌に触れるもの」「肌への触れ方」を見直すことも重要です。

ニキビの種類と進行段階

ニキビの症状は進行状態によって異なります。最初は白っぽいブツブツ(白ニキビ)として現れ、これは皮脂と古い角質が混ざり合うことで角栓ができ、毛穴の出口をふさぐことで起こります。 その後、皮脂分泌の増加とともに溜まった皮脂が毛穴を押し広げて表層に現れ、皮脂が空気に触れて酸化すると黒っぽく見える状態(黒ニキビ)になります。

さらに進行すると、皮脂を養分にアクネ菌が異常増殖し、刺激性物質を産生して炎症を起こすため、赤く腫れた状態(赤ニキビ)になります。炎症が悪化すると、アクネ菌を減らすために白血球が集まり、その残骸が膿となって溜まって黄色いニキビ(黄ニキビ)になります。

ニキビは白ニキビ→黒ニキビ→赤ニキビ→黄ニキビの順で経過をたどるのが一般的ですが、逆の経過をたどることもあります。また、途中で治ったり、瘢痕になることもあります。炎症がひどく、皮膚の奥深くにある真皮または皮下脂肪にまで達すると、膿腫(のうしゅ)という膿のたまった袋状の構造物ができることもあります。

ニキビの種類

当院におけるニキビの治療方法

ニキビは治療をやめてしまうと再発し、繰り返しニキビができてしまうことがあります。そのため、まず3ヶ月は治療を続けることが重要です。長いと感じるかもしれませんが、根気よく治療を続けることで、ニキビができにくい肌を目指すことができます。

当院ではニキビの治療メニューとして下記を提供しております。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは薬剤を顔全体に塗布し、余分な角質や皮脂を取り除き、肌のターンオーバー(入れ替え)を正常化・促進します。
ニキビ治療としてはかなり有名な施術ですが自費診療になります。

ケミカルピーリングは、ニキビや毛穴詰まりに対して、外用薬と同様のアプローチが可能な治療法です。この治療は、白ニキビや黒ニキビに対して有効で、毛穴のつまりを取って角化の異常を治し、ニキビができない肌にする効果があります。

ピーリング後は一時的に皮膚のバリア機能が低下し乾燥しやすくなるため、スキンケアや紫外線対策をしっかり行うことが大切です。

ケミカルピーリングは顔だけでなく、背中・デコルテ・首などにも施術することができます。

イソトレチノイン

イソトレチノインは、ほかの治療では改善がみられない重症のニキビにも効果が期待できる薬剤です。欧米のニキビ治療ガイドラインでは強く推奨されていますが、日本では未承認のため自費治療となります。

イソトレチノインは過剰な皮脂分泌を抑え、角化異常を抑制し、毛穴づまりを解消する働きがあります。治療完了後も肌のターンオーバーが正常となり、ニキビができにくい肌質に変化します。

保険診療でさまざまな外用薬や内服薬を試しても改善が見られない難治性ニキビや長年ニキビに悩まされている方に適した治療法です。

副作用としては、治療開始時の乾燥(特に唇の乾燥)、肌荒れ、初期悪化などがあります。また重大な副作用として胎児奇形があるため、女性は服用開始前1ヶ月から服用後6ヶ月間、男性も服用中と服用後1ヶ月間は避妊が必須です。 血液検査の異常(肝機能障害、脂質異常症)も報告されているため、定期的な血液検査によるモニタリングが必要です。

基本的な使用法としては、1日1錠(20mg)を食後に服用します。体重が多い方は1日2錠(40mg)から始める場合もあり、患者の状態に応じて調整されます。 治療期間は通常1クール(4~8か月)ですが、症状により延長する場合もあります。定期的に受診して効果や副作用の確認が必要です。

ビブラマイシン

ビブラマイシンはテトラサイクリン系の抗生物質が含有された日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡(ニキビ)治療ガイドライン」で推奨度Aとなっています。

ビブラマイシンやミノサイクリンなどの抗菌薬は、赤く腫れたニキビ(炎症性皮疹)に対して有効な内服薬です。副作用としては、吐き気や食欲不振、まれにめまいや色素沈着が見られることがあります。これらの内服薬は、毛穴のつまりを改善する外用薬と併用することで、より効果的な治療が可能となります。

ベピオゲル

ベピオゲルは2015年4月に発売された外用薬で、過酸化ベンゾイルを有効成分とし、アクネ菌への抗菌作用と角層が剥がれやすくなる作用を持っています。

耐性菌を生じないため長期間使用しても効果が落ちないことが利点であり、赤いニキビだけでなく白ニキビ・黒ニキビにも有効です。

赤みや乾燥などの副作用を生じることがありますが、2023年5月に発売されたベピオローションは保湿効果を高めてあり副作用が軽減されています。

エピデュオゲル

エピデュオゲルは2016年11月に発売された外用薬で、アダパレンに過酸化ベンゾイルを配合しています。言い換えれば、ディフェリンゲルとベピオゲルの成分が混合されたものです。

角層を薄くするアダパレンと、角層が剥がれやすくなる過酸化ベンゾイルが同時に作用するため、白ニキビ・黒ニキビの改善に有効です。

しかし、赤みや乾燥などの副作用がアダパレン単独や過酸化ベンゾイル単独に比べると強く出る可能性があります。一般的に外用して2週間前後に皮膚が赤くなったり、ヒリヒリする副作用が指摘されています。

アクアチムクリーム

アクアチムクリームは、ニューキノロン系と呼ばれる抗菌薬の外用剤です。塗ることで皮膚表面の細菌が増殖するのを妨げ、殺菌する効果があります。皮膚感染症の原因菌である表皮ブドウ球菌やアクネ菌を殺菌・除去することが期待できる外用薬です。

副作用としては、かゆみ、つっぱり感、かぶれなどを生じる場合があります。

ゼビアックスクリーム

ゼビアックスクリームは、ニキビ菌や表皮ブドウ球菌などに殺菌的に働く抗菌剤で化膿したニキビや表在性皮膚感染症の治療薬です。

水分が少ない油性クリームは、アルコールを含まないため染みることなく皮膚潰瘍やただれているようなびらんに対しても有効でとびひ(伝染性膿痂疹)の治療などにも使用します。

1日1回塗布するだけなので、塗り忘れなども少なく治療を続けやすいのが特徴です。

副作用が起きる可能性は稀ですが使用部位の乾燥、刺激感、かゆみ、ヒリヒリ感、ほてりなどが報告されています。

ニキビの治療は皮膚科へご相談を

ニキビを繰り返し再発する方の中には「体質だから」「簡単に生活習慣は変えられないし」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

適切な治療を受けることで再発や重症化を避けることは可能です。

当院では専門医が診察を行い、一人ひとりに適した治療と、生活改善の方法を提案いたします。お一人で悩まず、お気軽にご相談いただければと思います。

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