いわもと皮フ科クリニック

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医療コラム

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そのほくろ、がんの可能性は?|見分け方・危険サイン・受診目安を皮膚科医が解説

2025/12/27

「このほくろ、もしかしてがんかも…」
急に大きくなった、色が変わった、形がいびつになってきた、かゆみや出血がある――
そんな変化に気づくと、不安になりますよね。

ほくろの多くは良性ですが、中には皮膚がん(悪性黒色腫・メラノーマなど)が、ほくろとよく似た見た目で現れることがあります。そのため、見た目だけで「大丈夫」と自己判断してしまうのは注意が必要です。

この記事では、「ほくろがん」が気になって検索された方に向けて、
・ほくろと皮膚がんの違い
・自分で確認できる危険サイン
・すぐ病院を受診すべき症状の目安

を、皮膚科の診療現場で使われている考え方をもとに、できるだけわかりやすく解説します。不安な気持ちを整理し、次に取るべき行動がわかる内容になっています。

ほくろがん(皮膚がん)とは?

一般に「ほくろがん」と呼ばれているものは、医学的な正式名称ではありません。

多くの場合、ほくろに似た見た目をした皮膚がん、またはほくろが悪性化した状態を指して使われる、一般的な表現です。医学的には「皮膚がん」と分類され、その中にいくつかの種類があります。

ほくろの多くは良性であり、すぐに命に関わるものではありません。しかし、皮膚がんの中にはほくろと非常によく似た見た目で現れるものがあり、自己判断が難しいことが問題になります。そのため「ほくろに見える=安全」とは言い切れません。

ここからは、「ほくろ」と「皮膚がん」の違いを、段階的に整理していきます。

ほくろは良性腫瘍であることがほとんど

ほくろは、皮膚の中にあるメラニン色素をつくる細胞が局所的に増えた良性腫瘍です。多くは子どもの頃から存在し、長い年月をかけても大きさや色、形に大きな変化が見られないのが特徴です。

基本的には健康上の問題を起こすことは少なく、見た目以外の症状がなければ治療を必要としないケースがほとんどです。そのため、すべてのほくろを過度に心配する必要はありません。

皮膚がんはほくろに似た見た目で現れることがある

皮膚がんは、皮膚の細胞が異常に増殖する悪性腫瘍です。中でも悪性黒色腫(メラノーマ)は、黒色や茶色の斑点として現れることが多く、見た目がほくろと非常によく似ています。

初期の段階では痛みや自覚症状がほとんどなく、見た目だけで良性か悪性かを判断するのは困難です。そのため、変化に気づかず放置されてしまうケースも少なくありません。

「ほくろ=がん」ではないが、変化があれば注意が必要

大前提として、ほくろの大半は良性であり、すぐに皮膚がんになるわけではありません。ただし、これまでと違う変化が現れた場合は注意が必要です。

大きさや形、色に変化が出てきた場合や、かゆみ、出血などの症状を伴う場合には、皮膚がんの可能性を完全に否定することはできません。そのため「昔からあるから大丈夫」「痛くないから問題ない」と自己判断せず、専門的な診察を受けることが重要です。

皮膚がんはほくろ以外の見た目でも現れる

皮膚がんは、必ずしも黒いほくろの形で現れるとは限りません。シミのように見えたり、赤いできもの、治りにくいかさぶたのような状態で見つかることもあります。

そのため、見た目だけで「これはほくろだから安心」「シミだから問題ない」と判断してしまうと、発見が遅れてしまう可能性があります。

注意すべきほくろの変化と危険サイン

ほくろの多くは良性であり、見た目に変化がなければ過度に心配する必要はありません。しかし、皮膚がんは「変化」として現れることが多いため、これまでと違う状態に気づくことが非常に重要です。特に、短期間での変化や、これまでになかった症状が出てきた場合は注意が必要です。

ここでは、皮膚科の診療現場で受診の目安とされる代表的な変化について解説します。

急に大きくなる、形が変わってきた場合

良性のほくろは、長い年月をかけても大きさや形がほとんど変わらないことが一般的です。そのため、短期間のうちに目に見えて大きくなったり、これまで丸かった形がいびつになってきた場合は注意が必要です。

特に、左右で形が違って見えるようになった場合や、輪郭が崩れてきたと感じる場合には、皮膚がんの可能性を考慮する必要があります。

色が濃くなる、まだらになるなど色調の変化がある場合

ほくろの色が以前より濃くなったり、黒や茶色だけでなく、部分的に薄い色や赤みが混じるなど、色にムラが出てきた場合も注意が必要です。

皮膚がん、とくに悪性黒色腫では、色の均一性が失われることがあります。見た目の色が変化してきたと感じた場合は、自己判断せず専門医の診察を受けることが重要です。

短期間で数が増えた、周囲の皮膚に変化が出てきた場合

短い期間のうちに、似たような色や形のほくろが増えたと感じる場合や、ほくろの周囲の皮膚が赤くなったり、盛り上がったりする場合も注意が必要です。

皮膚がんは周囲の皮膚に影響を及ぼすことがあり、こうした変化は重要なサインになることがあります。

自己判断で様子見を続けるのは注意が必要

「痛くないから大丈夫」「昔からあるから問題ない」と考えて様子見を続けてしまう方も少なくありません。しかし、皮膚がんは初期には自覚症状が乏しいことも多く、見た目の変化が唯一の手がかりになる場合もあります。

少しでも不安を感じる変化がある場合は、早めに皮膚科を受診することで、必要のない心配を減らすことにもつながります。

セルフチェックでできるABCDEルールによる見分け方

ほくろと皮膚がんを見分ける際、皮膚科の診療現場や国際的にも広く用いられているのが「ABCDEルール」です。これは、見た目の特徴から皮膚がんの可能性を判断するための指標で、専門知識がない方でも確認しやすい点が特徴です。

すべてが当てはまらなければ問題ない、というものではありませんが、ひとつでも該当する場合には注意が必要とされています。

A(左右非対称)になっていないか

良性のほくろは、形が比較的左右対称であることが多いとされています。一方、皮膚がんの場合、形が不規則になり、左右でバランスが取れていないことがあります。

鏡で見たときに、左右を比べて明らかに形が違うと感じる場合は、注意が必要です。

B(境界が不明瞭)になっていないか

良性のほくろは、周囲の皮膚との境目がはっきりしていることが一般的です。しかし、皮膚がんでは、輪郭がぼやけていたり、どこまでがほくろなのか分かりにくくなることがあります。

境界がギザギザしていたり、にじんだように見える場合は、皮膚科での確認が勧められます。

C(色にムラ)が出ていないか

ほくろの色が均一ではなく、黒や茶色の中に薄い部分や赤みが混じって見える場合も、注意すべき変化のひとつです。

特に、以前は単色だったのに、徐々に色の濃淡が目立つようになってきた場合は、皮膚がんの可能性を考慮する必要があります。

D(大きさが直径6mm以上)になっていないか

一般的に、直径6mm以上のほくろは注意が必要とされています。ただし、大きさだけで良性・悪性が決まるわけではありません。

小さくても急激に変化している場合や、大きくなるスピードが早い場合には、サイズに関わらず医師の診察を受けることが大切です。

E(変化している)様子はないか

ABCDEルールの中でも特に重要とされているのが「E=変化」です。大きさ、形、色だけでなく、盛り上がり、かゆみ、出血など、これまでになかった変化が見られる場合は注意が必要です。

「最近になって変わった気がする」「以前と比べて違和感がある」と感じた時点で、皮膚科を受診する目安になります。

ABCDEルールはあくまで目安である

ABCDEルールはセルフチェックとして非常に有用ですが、これだけで診断が確定するわけではありません。見た目が典型的でなくても皮膚がんであるケースや、逆に該当していても良性であるケースも存在します。

少しでも不安を感じる場合には、自己判断に頼らず、専門医による診察を受けることが最も確実な方法です。

この症状があれば病院へ|受診の目安

ほくろに変化があった場合、「すぐ病院に行くべきなのか」「もう少し様子を見ても大丈夫なのか」と迷う方は少なくありません。結論から言うと、皮膚がんは早期発見が非常に重要なため、少しでも不安があれば皮膚科を受診することが勧められます。

ここでは、皮膚科の診療現場で「受診の目安」とされている考え方を解説します。

すぐに皮膚科を受診したほうがよいケース

ほくろが短期間で大きくなったり、形や色が明らかに変化してきた場合は、早めの受診が必要です。また、出血やかゆみ、痛みなどの症状を伴う場合も、放置せず専門医の診察を受ける目安になります。

これらの変化は、皮膚がんに限らず別の皮膚疾患でも起こり得ますが、いずれにしても自己判断で様子見を続けることはおすすめできません。

経過観察でもよい可能性があるケース

長年変化がなく、大きさや色、形が安定しているほくろで、症状もまったくない場合には、すぐに治療が必要ないこともあります。

ただし、「変化がないと思っていたが、写真で見返すと違っていた」というケースもあるため、判断が難しい場合は一度医師に確認してもらうと安心です。

何科を受診すればよいのか

ほくろや皮膚がんが気になる場合、基本的には皮膚科を受診するのが適切です。皮膚科では、視診やダーモスコピーと呼ばれる専用機器を用いた検査を行い、必要に応じてさらに詳しい検査を進めます。

形成外科やがん専門病院が関わるケースもありますが、最初の相談先としては皮膚科が最も一般的です。

受診をためらわなくてよい理由

「大したことがなかったら恥ずかしい」「忙しくて後回しにしてしまう」という理由で受診をためらう方もいます。しかし、皮膚科では日常的にこうした相談が行われており、問題がなければそれで安心できるという大きなメリットがあります。

万が一皮膚がんであっても、早期に発見できれば比較的シンプルな治療で済むケースが多く、身体的・精神的な負担を減らすことにつながります。

病院ではどんな検査をする?

ほくろや皮膚がんの可能性が気になって皮膚科を受診した場合、いきなり大きな検査や治療が行われるわけではありません。多くの場合、段階的に状態を確認しながら、必要最小限の検査が進められます。ここでは、一般的な皮膚科で行われる検査の流れについて解説します。

視診による確認

最初に行われるのが、医師による視診です。ほくろの大きさや形、色、周囲の皮膚の状態などを目で見て確認し、これまでの経過や変化についても問診を行います。

この段階で、明らかに良性と判断できる場合もあれば、もう少し詳しい検査が必要と判断される場合もあります。

ダーモスコピー検査とは

視診に加えて、多くの皮膚科ではダーモスコピーと呼ばれる専用の拡大鏡を使った検査が行われます。ダーモスコピーを用いることで、肉眼では見えない皮膚の内部構造や色素の分布を詳しく観察することができます。

この検査は痛みを伴わず、短時間で行えるため、ほくろと皮膚がんを見分けるための重要な検査方法として広く使われています。

皮膚生検(組織検査)が必要になる場合

視診やダーモスコピーでも判断が難しい場合には、皮膚生検と呼ばれる組織検査が行われることがあります。これは、ほくろや疑わしい部分の一部、または全体を切除して、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

局所麻酔を使用するため、検査中の痛みは最小限に抑えられます。検査後に多少の腫れや痛みが出ることはありますが、多くの場合、日常生活に大きな支障はありません。

検査結果が出るまでの期間と流れ

皮膚生検を行った場合、結果が出るまでには数日から1週間程度かかることが一般的です。その間に、今後の治療方針や追加検査の必要性について医師から説明を受けます。

良性と診断された場合には経過観察で済むことも多く、悪性と判断された場合には、早期の治療計画が立てられます。

検査を受けることのメリット

検査を受けることで、はっきりとした診断がつき、不安を解消できるという大きなメリットがあります。問題がなければ安心できますし、万が一皮膚がんであっても、早期に対応することで治療の選択肢が広がります。

自己判断で悩み続けるよりも、専門医による検査を受けることが、結果的に心身の負担を軽減することにつながります。

よくある質問

ほくろがあれば、皮膚がんの可能性は高いですか?

ほくろがあるからといって、皮膚がんの可能性が高いわけではありません。

多くのほくろは良性であり、一生問題を起こさないケースがほとんどです。

ただし、形や色、大きさなどに変化が見られる場合には注意が必要です。重要なのは「ほくろがあるかどうか」ではなく、「これまでと比べて変化しているかどうか」です。

昔からあるほくろでも、がんになることはありますか?

昔からあるほくろでも、まれに皮膚がんが発生することはあります。

ただし、その頻度は高くありません。

注意すべきなのは、長年変化がなかったほくろが、ある時期から急に大きくなったり、色が変わったりするケースです。過去に「問題ない」と言われたほくろであっても、変化があれば再度診察を受けることが大切です。

ほくろ除去をすれば、皮膚がんの予防になりますか?

ほくろを除去したからといって、すべての皮膚がんを予防できるわけではありません。

皮膚がんは、ほくろとは別の形で新たに発生することもあります。また、美容目的でのレーザー除去では、組織検査が行われない場合もあるため、がんの診断という観点では注意が必要です。がんの可能性が少しでも疑われる場合には、医師の判断のもとで検査や切除を行うことが重要です。

ほくろがかゆいだけでも、受診したほうがよいですか?

一時的なかゆみであれば、必ずしも皮膚がんとは限りません。

ただし、かゆみが続く場合や、赤み・出血・大きさの変化を伴う場合には、皮膚科を受診する目安になります。かゆみは皮膚がん以外の皮膚疾患でも起こりますが、自己判断で放置せず、一度診察を受けることで安心につながります。

まとめ|ほくろが気になったら、早めに皮膚科へ相談を

ほくろの多くは良性であり、必ずしも皮膚がんを疑う必要はありません。しかし、皮膚がんはほくろやシミと見分けがつきにくい形で現れることがあり、見た目だけで安全かどうかを判断するのは難しいのが実情です。

特に、大きさや形、色の変化、かゆみや出血などがみられる場合は、体からの重要なサインである可能性があります。ABCDEルールなどのセルフチェックは参考になりますが、最終的な判断には皮膚科での専門的な診察が欠かせません。

いわもと皮フ科クリニックでは、ほくろや皮膚の状態を丁寧に確認し、必要に応じて検査や治療をご案内しています。問題がなければその場で安心でき、万が一治療が必要な場合でも、早期に適切な対応を行うことができます。

「このほくろ、大丈夫かな」「病院に行くほどか迷っている」と感じた時点でご相談いただくことが、結果的に不安を早く解消する近道になります。少しでも気になる変化がある場合は、どうぞお一人で悩まず、いわもと皮フ科クリニックまでお気軽にご相談ください。

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