医療コラム
赤ら顔が治らないのは「酒さ」かも?原因・治し方・皮膚科の治療法を解説
2026/04/27

「頬や鼻の赤みがずっと引かない」「化粧水がしみる」「市販のスキンケアを変えても赤ら顔が治らない」――そんな悩みを抱えている方は、もしかすると「酒さ(しゅさ)」という皮膚の病気かもしれません。
酒さは、顔の赤みやほてり、ブツブツが長期間にわたって繰り返される慢性の皮膚疾患です。見た目がニキビや肌荒れに似ているため、自己判断でスキンケアを続けてしまい、結果的に悪化させてしまうケースが少なくありません。
しかし、酒さは皮膚科で適切な診断と治療を受ければ、症状をコントロールできる病気です。近年では保険適用で使用できる外用薬も登場しており、治療の選択肢は以前より広がっています。
藤沢・辻堂・茅ヶ崎エリアで赤ら顔の診療を行っているいわもと皮フ科クリニックでは、酒さの早期診断と適切な治療に力を入れています。この記事では、赤ら顔が治らない原因としての「酒さ」について、症状の見分け方から皮膚科での治療法まで分かりやすく解説します。
「赤ら顔」が治らない原因を知っていますか?

赤ら顔に悩む方の多くは、まずスキンケアの見直しから始めます。化粧水を変えたり、赤み用のクリームを試したり、食生活を見直したり。それでも改善しない場合、「体質だから仕方ない」と諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、赤ら顔が長期間治らない場合、その原因は「肌質」ではなく「病気」であることがあります。
赤ら顔の原因は一つではない
赤ら顔には、さまざまな原因が考えられます。気温の変化や緊張による一時的な赤みであれば、生理的な反応であり心配はいりません。
しかし、以下のような状態が続いている場合は、皮膚科での診察を検討すべきサインです。
・赤みが数週間以上引かない
・洗顔後やスキンケアの後に顔がヒリヒリする
・頬や鼻に小さなブツブツが繰り返しできる
・市販の化粧品やスキンケアでは改善しない
これらの症状に心当たりがある場合、「酒さ」が原因である可能性があります。
「肌荒れ」「ニキビ」と間違われやすい
酒さの症状は、一般的な肌荒れやニキビと非常によく似ています。そのため、市販のニキビ用薬や美容液で対処し続けてしまうケースが多くみられます。
しかし、酒さとニキビでは原因が異なり、治療法もまったく違います。ニキビ向けの製品の中には、酒さの肌には刺激が強すぎるものもあり、かえって赤みを悪化させてしまうことがあります。
「ニキビだと思って治療しているのに治らない」という場合は、酒さの可能性を疑って皮膚科を受診することが改善への近道です。
酒さ(しゅさ)とは?|赤ら顔を引き起こす慢性の皮膚疾患

酒さは、顔の中心部(頬・鼻・額・あご)に赤みやほてり、吹き出物が繰り返し現れる慢性の炎症性皮膚疾患です。英語では「Rosacea(ロゼーシア)」と呼ばれ、欧米では広く知られていますが、日本ではまだ認知度が低く、正しく診断されていないケースも多いとされています。
酒さの原因|なぜ赤みが続くのか
酒さの原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が複合的に関わっていると考えられています。
・顔面の血管の過剰な拡張:顔の毛細血管が通常より拡張しやすくなり、赤みやほてりとして現れます
・皮膚の免疫異常:皮膚のバリア機能や免疫反応の異常が、慢性的な炎症を引き起こすと考えられています
・毛包虫(ニキビダニ)の関与:皮膚に常在するデモデックス(毛包虫)が異常増殖し、炎症の一因となることが近年の研究で指摘されています
・遺伝的素因:家族に酒さの方がいる場合、発症リスクが高いとされています
酒さは「不摂生や飲酒が原因」と誤解されることがありますが、実際にはお酒を飲まない方にも発症します。名前に「酒」という字が含まれているのは見た目の特徴に由来するもので、飲酒習慣とは直接関係ありません。
酒さの4つのタイプ
酒さは症状の特徴によって、主に4つのタイプに分類されます。
紅斑毛細血管拡張型(タイプ1)
顔の赤みやほてりが主な症状です。赤みは頬や鼻に出やすく、初めは一時的ですが、次第に持続的になります。毛細血管が皮膚の表面から透けて見えることもあります。
丘疹膿疱型(タイプ2)
赤みに加えて、ニキビに似た赤いブツブツ(丘疹)や膿をもった吹き出物(膿疱)が現れます。酒さの中でも最もニキビと間違われやすいタイプです。
鼻瘤型(タイプ3)
鼻の皮膚が厚くなり、ゴツゴツとした隆起が生じます。男性に多く見られるタイプで、日本ではやや稀ですが、長年酒さを放置した場合に進行することがあります。
眼型(タイプ4)
目の充血、乾燥感、まぶたの腫れなど、眼の症状を伴うタイプです。皮膚症状と同時に現れることもあれば、眼の症状だけが先に出ることもあります。
酒さの症状チェックリスト|こんな症状があれば受診を

以下のチェックリストに複数当てはまる場合は、酒さの可能性が考えられます。自己判断で対処を続けるのではなく、皮膚科を受診することをおすすめします。
・頬や鼻の赤みが3か月以上続いている
・辛い食べ物やお酒を飲んだ後に、顔の赤みが特にひどくなる
・温度差のある環境(暖房の効いた室内から外へ出たとき等)で顔がほてる
・洗顔やスキンケアで顔がヒリヒリ・ピリピリする
・ニキビのような赤いブツブツが顔の中心部にできる
・市販のニキビ用薬を使っても改善しない、またはかえって悪化する
・顔に細い血管が透けて見える
・目の充血や乾燥感が頻繁にある
※上記のうち2つ以上に心当たりがある場合は、酒さの可能性があります。特に「赤みが3か月以上」「市販薬で改善しない」の2点が揃っている場合は、早めの受診をおすすめします。
酒さと間違えやすい皮膚疾患
酒さは、他のよく見られる皮膚トラブルと似た症状を示すため、自己判断では区別が難しいことがあります。

ニキビとの違い
酒さの丘疹膿疱型はニキビと非常によく似ていますが、酒さには「面ぽう(毛穴の詰まり・白ニキビ・黒ニキビ)」がないという大きな違いがあります。ニキビは毛穴の詰まりから始まるのに対し、酒さは血管の拡張や炎症が主体です。
また、ニキビは思春期に多い一方、酒さは30代以降の成人に多く見られます。
脂漏性皮膚炎との違い
脂漏性皮膚炎は、鼻の周りやおでこにフケのような鱗屑(りんせつ)を伴う赤みが出る病気です。症状の出る部位が酒さと重なることがありますが、脂漏性皮膚炎では皮膚の表面がカサカサして皮がめくれる点が特徴です。
アトピー性皮膚炎との違い
アトピー性皮膚炎は全身に症状が出ることが多く、強いかゆみを伴います。酒さは主に顔の中心部に限局し、かゆみよりもほてりや灼熱感が主な症状です。
いずれの疾患との鑑別においても、皮膚科での専門的な診察が重要です。
赤ら顔・酒さの治し方|皮膚科での治療法

酒さは完治が難しい疾患とされていますが、適切な治療を行うことで症状を大幅にコントロールし、赤みのない状態を維持することが可能です。
メトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル)
メトロニダゾールは、酒さに対して日本で初めて保険適用となった外用薬です。抗炎症作用に加え、毛包虫に対する抗菌作用も有しており、丘疹膿疱型の酒さに高い効果が期待できます。
1日2回、赤みやブツブツのある部位に塗布します。使い始めて2〜4週間程度で効果を実感する方が多いですが、症状が落ち着いた後も再発予防として継続使用することが重要です。
イベルメクチンクリーム
イベルメクチンは、酒さの原因の一つとされる毛包虫(デモデックス)を減少させる効果を持つ外用薬です。酒さ治療の選択肢として注目されています。
1日1回の塗布で済むため使いやすく、メトロニダゾールと並ぶ酒さ治療の基本薬として位置づけられています。
ベーシックケアクリーム(アゼライン酸20%配合)
アゼライン酸は、抗炎症作用・抗菌作用・角質正常化作用を持つ成分で、海外では酒さ治療の標準的な外用薬として広く使用されています。赤みや炎症性の丘疹、毛穴の詰まりに対して穏やかにアプローチできるため、酒さのスキンケアに適した成分です。
当院では、アゼライン酸を20%配合した「ベーシックケアクリーム」(30g 3,300円)を取り扱っています。
・抗炎症作用により赤みやブツブツを穏やかに抑える
・毛穴の詰まりや角質ケアにも効果が期待できる
・1日2回、洗顔後に塗布する
・刺激が比較的少なく、敏感肌の方にも使いやすい
敏感な肌の方にも取り入れやすい、日常のホームケアアイテムとしてご利用いただけます。
抗菌薬の内服
丘疹や膿疱が広範囲に及ぶ場合や、外用薬だけでは十分な効果が得られない場合には、抗菌薬の内服を併用することがあります。
テトラサイクリン系の抗菌薬が用いられることが多く、抗菌作用だけでなく、炎症を抑える作用も期待できます。症状の改善を確認しながら、段階的に減量・中止していきます。
Vビームレーザー(色素レーザー治療)
外用薬や内服薬で丘疹・膿疱が改善しても、赤みだけが残るケースがあります。これは、慢性的な炎症によって拡張した毛細血管が元に戻りにくくなっているためです。
こうした「残った赤み」に対して有効とされているのが、Vビーム(色素レーザー)による治療です。Vビームは波長595nmのパルスダイレーザーで、拡張した毛細血管のヘモグロビンに選択的に吸収され、血管を収縮させることで赤みを軽減します。
Vビームによる酒さ治療の特徴は以下のとおりです。
・外用薬では改善しにくい持続的な赤みや毛細血管拡張に効果が期待できる
・施術時間は10〜20分程度で、ダウンタイムが比較的少ない
・1回で劇的に改善するものではなく、3〜5回程度の照射を繰り返すことで徐々に赤みが軽減する
・照射後は一時的に赤みや軽い腫れが出ることがあるが、通常は数日で落ち着く
・酒さに対するVビーム治療は自費診療となるのが一般的
Vビームは外用薬・内服薬による基本治療と組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。「薬で炎症は治まったが赤みが引かない」という場合の次のステップとして、皮膚科で相談してみるとよいでしょう。
スキンケアの見直し(補助的治療として)
酒さの治療には、日常のスキンケアも重要な役割を果たします。ただし、積極的なスキンケアが必要というよりも、「肌への刺激をいかに減らすか」が基本的な考え方です。
・洗顔:ぬるま湯(32〜34度程度)で、低刺激の洗顔料を使い、こすらずにやさしく洗う
・保湿:バリア機能を補うため、セラミドやヘパリン類似物質を含む保湿剤を使用する
・日焼け止め:紫外線は酒さを悪化させる因子のため、低刺激の日焼け止めを毎日使用する・避けるべきもの:アルコール入り化粧水、ピーリング成分、レチノールなど刺激の強い成分
酒さを悪化させる要因|日常生活での注意点

酒さは、日常生活の中にある刺激によって症状が悪化しやすい病気です。治療を受けると同時に、悪化因子を避けることで、症状のコントロールがしやすくなります。
避けるべき悪化因子
・温度変化:暖房の効いた部屋からの外出、サウナ、熱い風呂
・紫外線:長時間の日光暴露は赤みを悪化させる最大の要因の一つ
・飲酒:アルコールは血管を拡張させ、赤みやほてりを強める
・辛い食べ物・熱い飲み物:香辛料やカフェインは一時的に症状を増悪させることがある
・精神的ストレス:ストレスや緊張も悪化因子として報告されている
・不適切なスキンケア:ピーリング、スクラブ洗顔、アルコール含有化粧品
すべてを完全に避けることは現実的ではありませんが、自分にとって「特に悪化しやすい因子」を把握しておくことで、症状の波をコントロールしやすくなります。
酒さは市販薬で治る?セルフケアの限界

赤ら顔に悩む方の中には、まず市販の化粧品やサプリメントで対処しようとする方も多いかもしれません。しかし、酒さは医学的な治療が必要な皮膚疾患であり、市販薬やスキンケアだけで根本的に改善することは困難です。
市販薬では対処できない理由
市販されている赤ら顔向けの化粧品は、一時的な赤みを目立たなくしたり、肌の保湿を補助したりする目的で作られています。酒さの原因である血管の拡張や慢性炎症、毛包虫の異常増殖に直接アプローチするものではありません。
また、ニキビ用の市販薬に含まれるベンゾイルペルオキシドやサリチル酸は、酒さの肌には刺激が強すぎることがあり、使用によってかえって症状を悪化させてしまうリスクがあります。
皮膚科を受診すべきタイミング
「赤ら顔だけど、病院に行くほどではないかも」と感じている方は少なくありません。しかし、以下に当てはまる場合は、皮膚科での相談を検討してください。
・赤みが3か月以上続いている
・市販のスキンケアでは改善しない
・ブツブツや膿を持った吹き出物が繰り返しできる
酒さは早い段階で治療を始めるほど、症状のコントロールがしやすくなります。放置すると赤みが定着し、毛細血管の拡張が進んで改善に時間がかかるようになるため、気になった時点で受診することが重要です。
【FAQ】赤ら顔・酒さに関するよくある質問
Q. 酒さは何科を受診すればいいですか?
酒さが疑われる場合は、皮膚科を受診してください。酒さは皮膚の慢性炎症性疾患であり、皮膚科では視診や症状の経過から診断し、保険適用の外用薬を処方することができます。
Q. 酒さは完治しますか?
酒さは慢性疾患であるため、「完治」という表現よりも「症状をコントロールする」という考え方が一般的です。適切な治療を続けることで、赤みやブツブツが目立たない状態を維持できるようになります。治療を中断すると再燃することがあるため、医師と相談しながら長期的に管理していくことが大切です。
Q. 酒さの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
外用薬の効果が実感できるまでには、通常2〜4週間程度かかります。ただし、症状の程度や経過は個人差が大きいため、自己判断で治療を中断せず、定期的に皮膚科で経過を確認することが重要です。
Q. 酒さは遺伝しますか?
酒さには遺伝的な要因が関与していると考えられています。家族に酒さの方がいる場合、発症リスクが高い傾向がありますが、必ず発症するわけではありません。生活習慣やスキンケアに気を配ることで、発症や悪化を予防できる可能性があります。
Q. 酒さとニキビを自分で見分けることはできますか?
完全に見分けることは難しいですが、「面ぽう(白ニキビ・黒ニキビ)がない」「赤みが顔の中心部に集中している」「ほてりを伴う」場合は、酒さの可能性があります。正確な診断には皮膚科での専門的な診察が必要です。
Q. メイクはしても大丈夫ですか?
基本的に、酒さの方でもメイクは可能です。ただし、肌への負担をできるだけ減らすため、低刺激・ノンコメドジェニックの製品を選び、クレンジング時にこすりすぎないよう注意してください。症状が悪化している時期は、メイクを控えることが望ましい場合もあります。
いわもと皮フ科クリニックでの赤ら顔・酒さ治療
赤ら顔が長期間治らないとき、「体質だから」と諦めてしまう方は少なくありません。しかし、酒さは適切な診断と治療によって、症状を大きく改善できる病気です。
いわもと皮フ科クリニックでは、酒さの診断から外用薬による治療まで、一貫して対応しています。辻堂・藤沢・茅ヶ崎エリアで赤ら顔にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
「赤みが引かない」「スキンケアでは限界を感じている」そう思った時が、皮膚科を受診するタイミングです。
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