医療コラム
冬の乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)の原因と治し方
2026/01/31

冬になると、肌のかゆみや粉をふくような乾燥、ひび割れに悩まされる方は少なくありません。
「保湿しているのに良くならない」「市販薬を塗っても効かない」と感じている場合、それは単なる乾燥肌ではなく、皮脂欠乏性湿疹に進行している可能性があります。
乾燥肌は放置するとかゆみが悪化し、湿疹や出血を伴うこともありますが、皮膚科で適切な治療を受けることで、比較的早く症状を改善することができます。
この記事では、冬に乾燥肌が悪化する原因から、皮膚科で行う治療法、受診の目安までを、いわもと皮フ科クリニックの視点で分かりやすく解説します。
乾燥肌と皮脂欠乏性湿疹の違い

乾燥肌と皮脂欠乏性湿疹は、似ているようで状態の重さが異なります。
乾燥肌は、皮膚の表面がカサカサしたり、つっぱる感じが出る程度の軽い状態を指します。一方、皮脂欠乏性湿疹は、乾燥によって皮膚のバリア機能が壊れ、炎症が起きている状態です。
皮脂欠乏性湿疹になると、かゆみが強くなり、赤みや湿疹が出たり、掻くことで症状が悪化することもあります。単なる保湿だけでは改善しにくく、皮膚科での治療が必要になるケースが多くみられます。
乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)に見られる主な症状
乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹では、さまざまな症状が現れます。
代表的なものとして、皮膚のかゆみ、ひび割れ、皮むけ、肌が白く粉をふいたように見える状態などが挙げられます。
症状が進行すると、掻いた部分から湿疹が広がったり、ひび割れた皮膚から出血することもあります。特にすねや腰回り、背中、腕などは症状が出やすく、冬場に悪化しやすい部位です。
放置すると悪化しやすい理由
乾燥肌を放置すると、皮膚のバリア機能がさらに低下し、外部刺激に弱くなります。その結果、かゆみが強くなり、無意識に掻いてしまうことで炎症が悪化し、皮脂欠乏性湿疹へと進行することがあります。
また、掻き壊しを繰り返すことで色素沈着が残ったり、治りにくい慢性的な湿疹になることもあります。早い段階で皮膚科を受診し、症状に合った治療を行うことが、悪化を防ぐために重要です。
冬に乾燥肌がひどくなる原因

冬になると、これまで気にならなかった乾燥肌が急に悪化したと感じる方は少なくありません。
これは単に「空気が乾いているから」という理由だけではなく、気温や生活環境の変化によって皮膚の状態が大きく影響を受けているためです。特に皮脂欠乏性湿疹は、冬特有の環境が重なることで発症・悪化しやすくなります。
気温低下による皮脂分泌の減少
冬は気温が低下することで、皮膚の皮脂分泌量が自然と減少します。
皮脂は、皮膚表面を覆って水分の蒸発を防ぐ役割を担っていますが、その量が少なくなると、肌の水分が保持できなくなり乾燥しやすくなります。
特に高齢の方やもともと乾燥肌の傾向がある方は、皮脂分泌の低下が顕著になり、皮膚のバリア機能が弱まりやすくなります。
湿度低下による水分蒸発の加速
冬は空気中の湿度が大きく低下します。
湿度が低い環境では、皮膚の表面から水分が奪われやすく、肌の乾燥が一気に進行します。特に屋外だけでなく、室内でも湿度が下がるため、一日を通して乾燥にさらされる状態になります。
この水分蒸発が続くことで、皮膚がひび割れたり、皮むけや粉をふいたような状態が目立つようになります。
暖房による室内環境の影響
冬場に欠かせない暖房も、乾燥肌を悪化させる大きな原因のひとつです。
エアコンやファンヒーターなどの暖房器具は、室内の湿度をさらに下げ、皮膚の水分を奪いやすい環境を作ります。
長時間暖房の効いた部屋で過ごすことで、皮膚は常に乾燥状態にさらされ、かゆみや湿疹が出やすくなります。特に就寝中の暖房使用は、無意識のうちに症状を悪化させることがあります。
入浴習慣による皮脂の落としすぎ
冬は寒さの影響で、熱いお湯に長時間浸かる入浴習慣になりがちです。
しかし、熱いお湯や洗浄力の強い石けん・ボディソープは、皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまいます。
その結果、入浴後に急激な乾燥が起こり、かゆみやひび割れを引き起こしやすくなります。毎日の習慣が、知らないうちに乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹を悪化させているケースも少なくありません。
市販薬で効かない乾燥肌の対処法

乾燥肌を感じたとき、まず市販の保湿クリームやかゆみ止めを試す方は多いと思います。しかし「しっかり塗っているのに良くならない」「一時的には落ち着くが、すぐ再発する」というケースも少なくありません。
その場合、単なる乾燥ではなく、皮脂欠乏性湿疹として皮膚の炎症が進んでいる可能性があります。
セルフケアで改善できる乾燥肌の範囲とは
市販薬やボディクリームによるセルフケアで改善しやすいのは、かゆみや赤みがほとんどなく、軽い皮むけ程度の初期の乾燥肌です。
この段階では、入浴方法を見直し、保湿を継続することで症状が落ち着くこともあります。
しかし、かゆみが強くなってきた場合や、掻いたあとに赤みや湿疹が出ている場合は、すでに皮膚の炎症が起きている状態と考えられます。この段階では、セルフケアだけでの改善は難しくなります。
市販薬が効かない理由と乾燥肌の悪循環
市販の保湿剤は、皮膚の水分を補う目的で作られており、炎症を抑える力は限定的です。
皮脂欠乏性湿疹では、乾燥によって皮膚のバリア機能が壊れ、そこに刺激が加わることでかゆみや湿疹が生じます。
この状態で十分な治療を行わないと、かゆみ→掻く→皮膚が傷つく→さらに乾燥する、という悪循環に陥りやすくなります。市販薬を塗っても改善しないのは、原因そのものに十分アプローチできていないためです。
早めに皮膚科を受診するメリット
乾燥肌が悪化している場合、皮膚科では皮膚の状態を正確に診断したうえで、症状に合った治療を行います。
炎症がある場合には、保湿剤だけでなく、必要に応じてステロイド外用薬を組み合わせることで、かゆみや赤みを早期に抑えることが可能です。
早めに皮膚科を受診することで、症状の長期化や慢性化を防ぎ、結果的に治療期間や通院回数を抑えられることも少なくありません。市販薬で効果を感じられない乾燥肌こそ、早めの皮膚科受診が重要です。
皮膚科での乾燥肌治療(保険適用)

乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹は、皮膚科で保険適用による治療が可能な皮膚疾患です。
「保湿剤をもらうだけ」と思われがちですが、皮膚科では皮膚の状態を医学的に評価したうえで、症状の程度に応じた治療を行います。自己判断でケアを続けるよりも、適切な治療を受けることで、症状の改善が早まるケースが多くあります。
皮膚科で行う乾燥肌の診察内容
皮膚科では、まず皮膚の乾燥の程度や赤み、湿疹の有無、掻き壊しの状態などを丁寧に確認します。
単なる乾燥なのか、皮脂欠乏性湿疹として炎症を伴っているのかを見極めることが、治療方針を決めるうえで重要です。
症状の出ている部位や広がり、かゆみの強さなども考慮し、患者さん一人ひとりに合わせた治療内容を検討します。
保湿剤処方を中心とした基本治療
乾燥肌治療の基本となるのが、医療用の保湿剤の処方です。
皮膚科で処方される保湿剤は、市販品と比べて成分や保湿力が明確で、症状に応じて使い分けが可能です。
皮膚の水分保持を助け、バリア機能の回復を促すことで、乾燥によるかゆみや皮むけの改善を目指します。継続して正しく使用することで、症状の再発を防ぐ効果も期待できます。
炎症がある場合のステロイド外用薬の使用
赤みや湿疹、強いかゆみを伴う場合には、保湿剤だけでは十分な改善が得られないことがあります。
そのような場合には、炎症を抑える目的でステロイド外用薬を併用します。
ステロイドと聞くと不安を感じる方もいますが、皮膚科では症状の程度や部位に応じて適切な強さ・使用期間を調整します。医師の指示通りに使用すれば、安全性を確保しながら、つらい症状を早期に抑えることができます。
処方される保湿剤の種類と特徴

皮膚科で行う乾燥肌治療では、症状や皮膚の状態に合わせて保湿剤を使い分けます。
一口に「保湿剤」といっても、それぞれ作用や使用感が異なり、乾燥の程度や部位によって適した種類は変わります。皮脂欠乏性湿疹の改善には、皮膚の状態に合った保湿剤を選ぶことが重要です。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の特徴
ヒルドイドは、皮膚の水分を保持しやすくする作用を持つ保湿剤です。
角質層に水分を引き込み、乾燥によって低下した皮膚のバリア機能を回復させる効果が期待できます。
ローション、クリーム、軟膏など複数の剤形があり、乾燥の程度や塗る部位によって使い分けが可能です。べたつきが少なく、全身に使いやすいため、冬の乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹の治療で広く用いられています。
白色ワセリンの特徴
白色ワセリンは、皮膚の表面を油膜で覆うことで水分の蒸発を防ぐ保湿剤です。
水分を補うというよりも、皮膚から水分が逃げないように守る役割を持っています。
刺激が少なく、安全性が高いため、敏感肌の方やお子さまにも使用しやすいのが特徴です。ただし、塗り心地が重たく感じることがあり、使用量や部位の調整が必要になります。
尿素軟膏の特徴と注意点
尿素軟膏は、角質を柔らかくし、水分を保持しやすくする作用を持つ保湿剤です。
皮膚が厚くなりやすい部位や、粉をふくような乾燥が強い場合に効果を発揮します。
一方で、炎症やひび割れがある部位に使用すると刺激を感じることがあります。そのため、皮脂欠乏性湿疹として赤みやかゆみが出ている場合には、医師の判断のもとで使用することが重要です。
保険適用で処方されるメリット
これらの保湿剤は、皮膚科で診察を受けることで保険適用で処方されます。
市販品と比べて成分や使用目的が明確で、症状に応じた選択ができる点が大きなメリットです。
自己判断で保湿剤を選ぶのではなく、皮膚の状態を確認したうえで適切な保湿剤を処方してもらうことで、乾燥肌の改善と再発予防につながります。
こんな症状があったら皮膚科へ

乾燥肌は軽い症状であればセルフケアで落ち着くこともありますが、皮脂欠乏性湿疹に進行すると、自己判断での対応が難しくなります。
症状を我慢しているうちに悪化し、治るまでに時間がかかるケースも少なくありません。以下のような状態が見られる場合は、早めに皮膚科を受診することが大切です。
かゆみが止まらない・夜眠れない
乾燥によるかゆみが強く、日中だけでなく夜間も気になる場合は注意が必要です。
無意識に掻いてしまうことで皮膚が傷つき、湿疹や炎症が悪化しやすくなります。かゆみが続く場合は、保湿だけでは不十分なことが多く、皮膚科での治療が必要になります。
全身の乾燥が進んでいる
腕や脚だけでなく、背中やお腹など広い範囲で乾燥が目立つ場合、皮膚全体のバリア機能が低下している可能性があります。
この状態を放置すると、皮脂欠乏性湿疹が全身に広がることもあるため、早めの受診が勧められます。
ひび割れや出血が見られる
乾燥が進行すると、皮膚がひび割れ、出血を伴うことがあります。
特に指先やすね、かかとなどは悪化しやすい部位です。出血がある場合は感染のリスクも高まるため、自己処置に頼らず皮膚科で適切な治療を受けることが重要です。
赤みや湿疹が繰り返し出る
一度よくなったと思っても、赤みや湿疹を何度も繰り返す場合は、根本的な治療ができていない可能性があります。
皮膚科では、乾燥の程度や炎症の有無を確認し、症状に合わせた外用薬を処方することで、再発を防ぐ治療を行います。
冬の乾燥肌・皮脂欠乏性湿疹は早めの皮膚科相談が大切です

冬になると、気温や湿度の低下、暖房の使用などが重なり、乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹の症状が一気に悪化しやすくなります。
はじめは「少しかゆい」「粉をふいているだけ」と感じていても、放置することでかゆみが強くなったり、湿疹やひび割れ、出血につながることもあります。
市販の保湿剤で改善するケースもありますが、症状が続く場合やかゆみが強い場合は、自己判断を続けるよりも皮膚科での診察を受けることが大切です。
皮膚の状態を正しく診断したうえで、保湿剤や外用薬を適切に使い分けることで、症状の早期改善が期待できます。
乾燥肌や皮脂欠乏性湿疹は、正しい治療とスキンケアを行うことで、毎年のつらさを軽減できる皮膚トラブルです。
「毎年冬になると同じ症状を繰り返している」「今年はなかなか良くならない」と感じている方は、早めに相談することが安心につながります。
いわもと皮フ科クリニックからのご案内
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まずは皮膚の状態を確認し、今の症状に合ったケア方法をご案内します。
