
湿疹
湿疹とは
湿疹は皮膚に炎症が起こり、赤みやかゆみなどの症状が現れる一般的な皮膚疾患です。
様々な要因によって発生し、皮膚のバリア機能が低下したり、アレルギー反応が起きたりすることで症状が現れます。症状は軽度から重度まで様々で、適切な治療と日常生活での注意が必要です。
湿疹の種類
接触皮膚炎
皮膚に直接触れた物質による刺激やアレルギー反応で起こる湿疹です。化粧品、金属、洗剤などが原因となることが多く、接触した部位に症状が現れます。
アトピー性皮膚炎
遺伝的要因と環境要因が組み合わさって発症する慢性的な皮膚炎です。特に乳幼児に多く見られますが、成人でも発症することがあります。症状は顔や首、関節の内側などに現れやすく、強いかゆみを伴います。
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌が多い部位(頭皮、眉間、鼻の周り、耳の後ろなど)に発生しやすい皮膚炎です。赤みと共に、黄色や白色のふけ状の鱗屑(りんせつ)が特徴です。
貨幣状湿疹
円形または楕円形の湿疹が現れるタイプで、硬貨のような形状をしていることからこの名前がついています。主に四肢に発生しやすく、境界がはっきりとした赤い斑点として現れます。
うっ滞性皮膚炎
下肢の静脈還流障害(静脈瘤や深部静脈血栓症など)によって引き起こされる皮膚の慢性炎症性疾患です。下肢に赤褐色の色素沈着、かゆみ、乾燥、湿疹様の変化が現れ、進行すると潰瘍を形成することもあります。
汗疹
汗腺の出口が塞がれることで発症する皮膚疾患です。高温多湿の環境下で汗をかきやすい部位(首、胸、背中、わきの下など)に小さな赤い発疹や水疱として現れます。乳幼児から大人まで発症し、痒みや刺激感、重症化で細菌感染のリスクがあります。
湿疹が起きる主な原因
湿疹の原因は多岐にわたり、主な原因には以下3つが関わっています。
- 外的要因
- 内的要因
- 環境要因

外的要因
外的要因とは、皮膚に直接影響を及ぼす、外部からの刺激や物質のことです。摩擦や圧迫などの物理的な刺激が皮膚に加わることで、炎症が生じることがあるほか、洗剤や化粧品などの化学物質が皮膚に接触し、刺激を引き起こすことがあります。また細菌や真菌などの微生物が皮膚に感染すると、湿疹が発生することがあるため、注意が必要です。さらに、特定の植物や金属、化粧品などに含まれるアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が皮膚に触れることで、接触皮膚炎を引き起こすことがあります。
内的要因
内的要因とは、個人の体質や健康状態に関連する要因のことです。アトピー性皮膚炎の素因を持つ人は、皮膚のバリア機能が低下し、湿疹を起こしやすい傾向があります。また皮脂の分泌が過剰になると、脂漏性皮膚炎を引き起こすほか、ホルモンバランスが乱れると皮脂の分泌を促進し、湿疹の原因となることがあります。さらに精神的なストレスは免疫機能に影響を与え、湿疹の発症や悪化に関与することがあるため、注意が必要です。
環境要因
湿度や温度の変化が皮膚に影響を与え、湿疹を引き起こすことがあるほか、不適切なスキンケアや不衛生な環境は、皮膚の健康を損ない、湿疹の原因となることがあります。湿疹の予防や治療には、これらの原因を適切に把握し、対策を講じることが重要です。
湿疹の診断方法
パッチテスト
パッチテストとは接触皮膚炎(かぶれ)の原因を調べるための検査です。疑わしい物質を背中や腕に貼り付け、48時間後に反応を確認します。日本人に多いかぶれの原因物質22種類を一度に検査できるパッチテストパネルもあります。この検査は遅発型(IV型)アレルギー反応を調べるもので、原因物質に触れてから1~2日後に症状が現れるタイプのアレルギーを特定するのに役立ちます。
湿疹の治療法
ステロイド外用薬
湿疹の治療の中心となる薬剤です。症状や部位に合わせて使い分けます。炎症を抑え、かゆみを和らげる効果があります。医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
内服療法
かゆみを抑える効果がある抗ヒスタミン薬やアレルギー反応を抑制する作用のある抗アレルギー薬などが症状の緩和効果が見込めます。
View39(アレルギー検査)について
当院ではアレルギーの原因を特定するための検査「View39」を実施しています。この検査は、一度の少量の採血で39種類のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を調べることができます。アレルゲンは樹木、動物、昆虫などを分類した「吸入系アレルゲン」と卵、牛乳、小麦、肉類、甲殻類などを分類した「食物系アレルゲン」に大別できます。検査結果がわかれば、日常生活でのアレルギー対策や治療方針の決定に大いに役立ちます。
- アレルギー性鼻炎や花粉症、じんましん、アトピー性皮膚炎などの症状がある
- 湿疹の原因となる物質がわからない
- 効果的な治療法や対策を知りたい
- 食事の際に注意すべき素材を知りたい