
水虫・爪水虫
水虫・爪水虫は、白癬(はくせん)菌という真菌(カビの一種)が皮膚や爪に感染して発症する疾患です。主に足の指の間、足の裏、爪など湿度の高い部位に発生しますが、感染が広がると手、股や頭部にまで及ぶことがあります。
白癬菌は高温多湿な環境を好み、温泉やプールなど裸足で歩く場所に多く存在します。
日本では特に湿度が高い季節に増える傾向があり、多くの方が悩まされる疾患です。特に汗をかきやすい方や革靴を履く時間が長い方、糖尿病の方は感染リスクが高いため、注意が必要です。

水虫の種類
水虫は下記の4つのタイプに分けることができます。
趾間型(しかんがた)
趾間(しかん)とは足の指の間のことを指します。皮膚が白くふやけたり、ひび割れたりするのが特徴です。かゆみを伴うことが多く、悪化すると皮がむけたりただれたりすることもあります。特に4番目の趾間(薬指と小指の間)にできやすいタイプです。
小水疱型
小さな水疱が足の裏や側面に発生し、強いかゆみを伴います。水疱が破れると皮がむけ、痛みやしみる症状が出ることもあります。夏に悪化しやすく、再発を繰り返すことが多いタイプです。
角質増殖型
かかとを中心に角質が厚くなり、ひび割れが生じるのが特徴です。かゆみは少ないものの、皮膚が硬くなり、ひび割れによる痛みを伴うことがあります。慢性化しやすく、治療には長期間を要することが多いです。
爪白癬
爪白癬(つめはくせん)とは爪に白癬菌(いわゆる水虫菌)が感染したため、爪の色が白く濁ったり、爪の厚みが増して変形したり、爪がもろく崩れやすくなった状態のことを言います。
痛みやかゆみを伴わないために放置されやすいのですが、症状が進行すると爪の変形による痛みから歩行に障害をきたす場合があります。
放置していると家族内で水虫の感染源になる可能性もありますので家族の方が患った場合は注意が必要です。
水虫・爪水虫の予防方法
足の清潔なケア
水虫菌(白癬菌)は湿った温かい環境を好むため、足を清潔に保ち、しっかり乾燥させることが最も重要な予防法です。
入浴・シャワー後は、足の指の間を含めて丁寧に拭き取りましょう。
特に指の間は水分が残りやすいので、タオルでしっかり押さえるように水分を吸収させるか、ドライヤーの冷風で乾かすのも効果的です。足が汗をかきやすい方は、日中でも定期的に靴を脱いで足を乾かしたり、吸湿性の良い靴下に履き替えたりすることをお勧めします。
また、足専用のパウダーを使用すると、余分な湿気を吸収し、足を快適に保つことができます。足の清潔と乾燥を保つ習慣は、水虫予防の基本であり、すでに水虫がある方の再発防止にも役立ちます。
靴・靴下の管理
水虫予防には、靴と靴下の選び方と管理も重要です。
靴は通気性が良く、足にフィットするものを選びましょう。合成皮革よりも天然皮革や布製の靴の方が通気性に優れています。
同じ靴を毎日履くのではなく、数足を交互に履き、履かない日には十分に乾燥させることが大切です。靴の中に新聞紙を詰めておくと湿気を吸収してくれます。靴下は綿や麻など天然素材の吸湿性の高いものを選び、毎日清潔なものに履き替えることが重要です。発汗が多い方は、日中に靴下を取り替えるのも効果的です。
また、防水スプレーや消臭スプレーなど、靴の内部を清潔に保つためのケア用品を定期的に使用するのもおすすめです。このように靴と靴下の管理を徹底することで、水虫菌の繁殖を防ぐことができます。
公共の場での感染リスク低減
水虫は直接接触やフケなどを介して感染するため、公共浴場やプール、共同シャワー、フィットネスジムなどの公共施設では特に感染リスクが高まります。これらの場所では必ずビーチサンダルなどの自分専用のサンダルを使用し、素足で床に直接触れないようにしましょう。また、タオルやバスマットなどの共用も避けるべきです。
公共施設を利用した後は、できるだけ早く足を洗い、しっかり乾かすことも重要です。家庭内に水虫患者がいる場合は、バスマットやスリッパの共用を避け、定期的に洗濯や消毒を行いましょう。洗面所やお風呂場の床も定期的に掃除し、清潔に保つことが家庭内感染の予防につながります。
こうした公共の場や家庭内での注意が、水虫の感染リスクを大幅に減らすことにつながります。
定期的な爪のケアと早期発見
爪水虫は一度感染すると治療が難しいため、予防と早期発見が特に重要です。
爪は定期的に適切な長さに切り、爪の下を清潔に保ちましょう。
爪切りは他の人と共用せず、使用後はアルコール消毒するのが理想的です。また、足の爪の変化に注意を払い、爪が厚くなる、黄色や白色に変色する、もろくなるなどの症状が見られたら、早めに皮膚科を受診しましょう。
特に糖尿病などの基礎疾患がある方や高齢者は爪水虫のリスクが高いため、定期的な足のチェックが欠かせません。すでに水虫にかかったことがある方は、完治したと思っても再発することがあるため、予防薬の使用も検討してください。
水虫・爪水虫の治療法
当院では内服による抗真菌治療を推奨しております。
服用期間は数か月にわたることが多く、肝機能検査を行いながら慎重に経過を観察します。