いわもと皮フ科クリニック

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円形脱毛症

円形脱毛症

円形脱毛症とは?

円形脱毛症は年月をかけて徐々に進行していく薄毛(AGA、FAGA)とは違い、頭髪や体毛が突然抜け落ち、円形または楕円形の脱毛斑が現れる疾患です。多くの場合、特に前触れもなく発症し、脱毛部分の皮膚は滑らかで炎症やかゆみを伴わないのが特徴です。

進行度には個人差があり、数か月で自然に治ることもあれば、長期にわたって脱毛が続き重症化するケースもあります。時には、脱毛と発毛を繰り返すこともあり、発症後の経過は一定ではありません。

また、軽度のものから広範囲に及ぶものまでさまざまなタイプがあり、経過も個人によって異なります。脱毛の範囲が広がる場合や繰り返し発症する場合は、早めに診察を受けることをおすすめしています。

円形脱毛症の画像

円形脱毛症の種類

単発型

円形脱毛症の中で最も多く見られるタイプで、頭部に1か所だけ円形または楕円形の脱毛斑ができるのが特徴です。脱毛部分の皮膚は炎症を伴わず、赤みやかゆみが出ることはほとんどありません。気づかないうちに発症し、家族や美容師の指摘で気が付く方も多くいます。

比較的軽度な症状で、適切なケアを行うことで、数か月から1年以内に自然に発毛が再開することが多いとされています。ただし、ストレスや生活習慣が影響することもあるため、規則正しい生活を心がけることが大切です。また、放置すると多発型に移行する可能性もあるため注意が必要です。

多発型

頭部の2か所以上に円形の脱毛斑が現れるタイプです。初めは小さな脱毛斑が点在する形で見られますが、進行するとそれらが徐々に広がり、脱毛部分が結合することもあります。

単発型に比べて治るまでに完治まで1〜2年と時間がかかる傾向があり、再発することも少なくありません。また、脱毛が広範囲に及ぶことで、髪のボリュームが減少し、見た目に影響を与える場合もあります。そのため、進行が見られた場合は、早めの診察を受けることをおすすめします。

蛇行型

脱毛斑が後頭部・側頭部の生え際に沿って帯状に広がるタイプです。
発症初期は単発型・多発型と似ていますが、進行すると脱毛が徐々に広がり、髪の生え際を囲むように伸びていくことが特徴です。

小児や若年層に多く見られる傾向があります。進行がゆっくりなこともありますが、長期間にわたって症状が続くことがあるため、定期的な経過観察が重要です。また、放置すると多発型や後述の全頭型へと移行する可能性があるため、早めの対策が必要です。

全頭型

頭部全体の毛が抜け落ちるタイプで、より重症化した状態です。初めは単発型や多発型として発症し、徐々に脱毛範囲が広がり、最終的に頭部全体の髪が抜け落ちるケースが多く見られます。

自然に改善することが難しく、回復には時間がかかる傾向があります。精神的なストレスや生活の変化が影響することも多いため、症状の進行が見られる場合は早めに医師へ相談し、適切なケアを行うことが大切です。また、ウィッグの活用など、日常生活の快適さを維持する工夫も重要になります。

汎発型

最も重症なタイプで、頭髪だけでなく眉毛、睫毛、髭、すね毛など、全身の毛が抜け落ちるのが特徴です。自己免疫の異常が強く関与していると考えられており、全頭型と同様に治療が難しいタイプとされています。

発毛が再開するまでに長い時間を要することが多く、完全に回復するまで数年かかることもあります。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症は様々な原因がありますが特に多い原因は下記になります。

遺伝的要素

家族で円形脱毛症が見られるケースも多く存在しているため、遺伝的な要素が関わっていると考えられます。

自己免疫疾患

自己免疫疾患とは何らかの原因でこの免疫機能が正常に働かず、自分の体の一部分を外から入ってきた異物とみなして攻撃してしまうことです。円形脱毛症の場合は免疫細胞であるTリンパ球が何らかの原因で毛根を攻撃することで起こると考えられています。

ストレス

以前は「円形脱毛症=ストレス」と直接的な要因として挙げられることが一般的でしたが、現在ストレスは直接的な原因というより、円形脱毛症が起こりやすい状態を作る間接的な要因と考えられることが多くなりました。

過度な精神的ストレスは、円形脱毛症の原因として有力視されている自己免疫疾患の引き金となることがあります。またストレスが蓄積した状態が続くと、交感神経に異常をきたし、交感神経が活発に働くと血管が収縮した状態になり、頭皮の血流が悪くなります。

結果的に髪や頭皮への影響が十分に行き届きにくくなることから、脱毛が発症しやすくなります。

アトピー素因

アトピー素因とは、喘息/アトピー性皮膚炎/アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患を起こしやすい体質のことをいいます。円形脱毛症との関連は明らかになっていませんが、円形脱毛症を疾患される方の40%がアトピー素因を持っているといわれており、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因が認められるため、深い関係があるとされています。

当院における円形脱毛症の治療

ステロイド内服

ステロイドの内服薬には、炎症や免疫機能を抑制する効果があり、発毛を促進する作用もあることが明らかになっていますが、肥満や糖尿病、骨粗しょう症、ニキビなどの様々な副作用が生じる場合があります。

また、服用をやめると症状が再発する可能性があります。
脱毛範囲が広範囲かつ急速に進んでいる成人の方に限定して行います。

ステロイド局所注射

免疫機能や炎症を抑制する効果のあるステロイドを、脱毛箇所に注射で注入する治療方法です。高い発毛効果がありますが、内服薬同様にステロイドには幾つか副作用があるため、副作用リスクがある方には実施しません。
発毛が認められるまで、2週間〜1ヵ月の間隔で治療を継続します。

ステロイド外用

ステロイドの塗り薬は、炎症を抑え、脱毛部分の免疫反応を鎮めることで、毛根の回復を促す治療法です。

軽度〜中等度の円形脱毛症に対して第一選択となることが多く、副作用も比較的少ないのが特徴です。
頭皮の状態や脱毛の範囲に応じて、強さの異なる外用薬を使い分けながら治療を進めていきます。

液体窒素療法

液体窒素によって脱毛部分を冷凍凝固させ、免疫細胞の働きを抑えることで毛の再生を図る治療方法です。治療の際に軽い痛みはありますが、ある程度の効果が期待できます。

紫外線療法

上記の他には紫外線療法(光線療法)も近年、円形脱毛症の治療に有効とされていますが当院では取り扱っていないため、ご希望の方には総合病院での治療をご紹介しております。